ジュエルビースト本戦inシフ編

 

ほぼ実話プレイ日記SS風第7弾のつづき。
バルハル女戦士・やる代さんことシフがジュエルビースト御本尊に挑むの巻。
毎度のことで申し訳ありませんが、くれぐれもジュエビ攻略の参考にはなさらぬようご注意願いますorz

 

 

なんのかんのがあって遂にシフ一行は、ジュエルビーストを倒す為、件の洞窟まで到着した。
「ここって柱崩した後、地味〜に鳥がイヤなんですよねぇ」
洞窟奥から湧き出る鳥型モンスターを目に、エルマンが早速文句を言い出す。「奴ら、ステルス忍び足で気配消しても何故かこっちに向かって飛んできやがりまして、しかもこっちがジャンプしようとする周りをふわふわ飛びやがるんですよ。毎度毎度邪魔くさくてねぇ・・・しかもここ降りた後も、カメラのせいで視界が超絶悪いところにモンスターがわんさと。全く意地の悪い構造しやがりまして、この洞窟作った奴はナニ考えてたのやら」
「そんなこと今更ぶつくさ言ってもしょうがないだろう? 洞窟があればモンスターはわいてくるモンなんだよ。もう御本尊は目の前だ、さっさと行くよ!!」
シフはエルマンの小言にも構わず、柱が落とされた円形の広間を一気に駆け抜けようとする──だが、百戦錬磨のシフとはいえやはり人の子。逸る心が一瞬の油断を生んだか、彼らがようやく洞窟奥へと繋がる足場に辿りつこうとしたその時。
「シフ、危ない! 上!」ディアナの叫び。一行の気配に勘付いた有翼系モンスター──フリスベルグが、群れをなして一直線にシフを狙う。
「だ、だ、だから言わんこっちゃないですよぉ!! とにかく早く逃げましょ!」
顔面蒼白になるエルマンを背に、シフはろばの骨を構える。「くっ・・・鳥に近づきすぎたか!!」
だがそのシフをジャンが止めた。「シフさん、エルマンさんの言う通りです。ジュエルビースト戦が控えているんだ、ここは逃げた方がいい」
「・・・確かにそうだ。仕方ない、逃げるしかないね」
「じゃ、じゃあ私がこいつで奴らの注意をひきつけておきますから、皆さん早く・・・」
咄嗟に匂い袋をかざそうとしたエルマンを、さらにジャンは引き留める。「それも駄目です。私がオトリになりますから、皆さんは先に奴のところへ!」
「ちょっとジャンさん! 無茶ですって、私ならLPにも全然余裕が」
「なぁに大丈夫ですエルマンさん。それに、ご存知でしょう──私は大して、ジュエビ戦ではお役に立てませんよ。ならば!」
剣を抜き放つジャンを見て彼の意思を悟ったシフは、すぐにエルマンを引きずるようにして駆けだした。「すまないね。ここは逃げるが勝ち、先に行ってるよ!」
「ちょちょちょっとシフさん決断早すぎますって、ジャンさん、ジャンさーん!!!」



そんなこんなのトラブルがありながらも、シフたちはどうにかジュエルビーストの眼前まで到着した。
「や〜れやれ、何とか致命傷ですみましたよ」不吉極まりない冗談を飛ばしながらシフたちに追いついてきたジャンだが、ジュエビ戦直前のこの大事な時にLPはきっちり5、減ってしまっていた。
「ジャン、大丈夫なのですか? その足は・・・」ディアナが急いで癒しの水を施したが、さすがに減ってしまったLPは元には戻らない。
「本当にすまなかったよ。こいつはあたしの油断だね」シフが謝り、エルマンはジャンをぎゃいぎゃい責めたてる。「もう! こんな所で貴重なLP減らすわけにいかんのですからね!! だからいつも通り私に任せて逃げれば良かったじゃないスか!!」
「過ぎたことを後悔してる時間はありませんよ。さぁ、行きましょう!」
ジャンの言うとおり──ジュエルビーストは静かに眠ってはいたが、そろそろこちらの気配を感じとり瞼を動かしかけている。
作戦はいつも通り。重装兵たるシフが前列で壁役となり、ディアナは聖杯&シムラクラム役。そして後の3人がオーヴァドライブを仕掛ける。ダークはフランシスカ、ジャンはロペラ。エルマンの手にはローザリアサーベルと大地の剣があった。
ジュエビが眠っている間に全員でBPを貯めつつかかと切りの嵐を喰らわし、その隙にエルマンとダークがウェポンブレスとアーマーブレスを全員にかける。エルマンは算盤を弾きながら念入りにジュエルビーストのダメージ計算を行い、与ダメージが1万を超えたあたりでリヴァイヴァを全員にかけ始めた。
「エルマン、気をつけなよ! いくらあんただって、LPが無尽蔵ってわけじゃないんだからね!!」
「んなこと言ったって仕方ないでしょうが、リヴァイヴァ使えるのは私しかおらんのですから! 全く、交渉がもうちょいうまく行ってたら他の方もリヴァイヴァが使えたのに・・・雪原の奴ら、パッタリといいもん出してくれなくなっちまって」
「・・・・・・恐らく、ソックス詐欺による小金稼ぎがバレたな。悪徳業者も長くは続かん」
「ダークさん? んなこと言うならアンタだけリヴァイヴァなしで戦ってもらいますぜ?」
「小言はやめな! そろそろ奴が目覚めるよ!!」
シフが叫び、エルマンが慌ててダークにリヴァイヴァをかけ、ディアナが素早く雪だるまに変身した直後に──ジュエルビーストは覚醒した。
そこから先もセオリー通り──雪だるまになったディアナが先手を取って聖杯をかかげ、ダークが先制のオーヴァドライヴをかける。フライバイとかかと切りによる5連携が巨獣に炸裂した。
「おぉ、いい感じですよ! フランシスカが1本しかないのは痛いですが、こいつなら!」エルマンが続いてダッシュしてオーヴァドライヴを発動、ローザリアサーベルでアッパースマッシュ5連発を食らわした。
さらにジャンがオーヴァドライヴに成功する──が、エルマンが事前に予想していた通り、かすみ二段の5連発ぐらいしか彼に出来ることはなかった。それでも何とか加撃が出てかすみ二段が一人連携し、巨獣に相応のダメージを与えていく。
「えぇい! それなりに効いてはいるようだが・・・エルマンさん今更アレですが、やはりロペラは貴方に持っていただいた方が良かったですね。私の今の攻撃力では」
「いえジャンさん、ロペラは貴方にお願いした方がいいんです。貴方のBPではオーヴァドライヴ後、かすみ二段しか出来ないことは先刻承知・・・なら、最強のロペラでかすみ二段を5連発していただいた方がお得でしょ?
それに一応、もう一つ対策は考えてあるんですよ!」言いながらエルマンは力まかせにローザリアサーベルを怪物にブチ込む。その勢いでジュエルビーストの強固な装甲はかなり剥がれたが、大型剣の刃もまたボロボロに崩れてしまった。
「もう一つ? それって・・・」
ジャンが不思議がる暇もなく、怒り狂った巨獣が雄叫びをあげて叩きつけを食らわしてくる。飛び出してきたシフが敢然と背後の4人を護った。「ぼーっとしてるんじゃないよ、まだまだコイツは・・・覇アアァッ!!!」
普通の人間であれば一撃で血塊となり地面に潰される──そんなジュエルビーストの叩きつけを喰らったにも関わらず、まだシフは倒れない。それどころか彼女はろばの骨を力まかせにふるい、意味不明な雄叫びをあげつつ巨獣の掌を叩きのめす。
「し、シフさん、いやシフ様、やっぱり貴方はシフ様ですぅ・・・」
「エルマンさん、彼女の奮闘を無にしちゃいけませんよ! ここは何としても」ジャンが飛び出してかすみ二段の体勢に入る。だがそれより早く、雪だるまの聖杯が発動した。
「ちょ、ちょっと待ってくださいぃジャンさん!!」「これはマズいぞ・・・」聖杯で全員のBPが満タンになったが、その直後にジャンのかすみ二段がジュエルビーストの装甲に申し訳程度のダメージを食わせた。エルマンとダークの顔が揃って青くなる。
何が起こったかジャンだけが理解しておらず、彼は意気揚々とオーヴァドライヴの体勢に入った。「これで全員のBPは満タン、もう一度オーヴァドライヴの嵐をヤツに・・・・・・って、アレ?」
水術が発動せず呆気にとられるジャンに、エルマンが肩をがっくりと落としつつ説明する。「BPが満タンになった直後にかすみ二段やったもんだから、オーヴァドライヴできる分のBPがなくなっちまったんですよ・・・・・・だから私があれほど言ったじゃないスか、ジャンさんは特にBP残量には気をつけろってぇ!!」
「そうだったんですか、参ったな・・・」さすがのジャンもこの状況には絶句せざるを得ない。シフがずいと前に出る。「それと、ジャン。あんた自分で気づいてないかも知れないけど、相当弱ってるよ。さっき逃げた時の怪我と今のオーヴァドライヴで・・・っ!!!」
シフが殺気を感じて顔を上げる間もなく巨獣は猛り狂い、エナジーボルトとウインドカッターとサンライトアローとヘルファイアが光の奔流となってパーティを襲う。全員の身体が吹き飛ばされ、洞窟の壁に、地面にと叩きつけられた。幸いリヴァイヴァは切れておらず何とか全員蘇生には成功したが、雪だるまがディアナに戻ってしまった。
「怯んではいけません。聖杯は元に戻っています、もう一度シムラクラムを!」ディアナは負けずに聖杯をかかげる。全員のBPが回復したが、ジュエルビーストは攻撃の手を緩めない──そしてエルマンとジャンに向かって無情なる叩きつけが来襲する。
「う、うぎゃあああああああ!!!」「させるかぁ!!!」エルマンの悲鳴とシフの雄叫びが同時に洞窟内に轟く──
すんでの所でエルマンとジャンを突き飛ばしたシフ。次の瞬間、彼女の身体は思い切りジュエビの掌の下敷きになった。
「し、しししシフさん・・・あぁああ」腰を抜かしたまま動けないエルマンと、なおも諦めずに巨獣を睨むジャンとディアナ。その目の前で、ゆっくりとジュエビの掌が上がっていく──「ま、まだまだぁあ!!」
そこにあったのは、筋肉隆々の脚で大地を踏みしめ巨獣の掌を力まかせに押し上げていく漢の姿。いや、漢女の姿。
「こ、こいつは・・・・・・まさしく、シフ『様』の呼び名にふさわしいですねぇ、ハハハ」
苦笑いしか出ないジャンの眼前で、シフはそのままジュエルビーストの手首を全身で捕らえジャック・ハマーの要領で思い切り巨獣を反対側の壁にぶん投げた。
「まままさか、リヴァイヴァでの蘇生もなしで叩きつけに耐えて、しかも反撃しちまうとは・・・」呆然と状況を眺めるエルマンの脇からダークが飛び出し、フランシスカによるフライバイとかかと切りの連携技をブチ込んだ。
ディアナがシムラクラムの詠唱に入っているのを確認し、エルマンももう一度オーヴァドライヴの体勢に入る──「でも、ここまで来たらもう少し・・・あともう少しですよ!」
だが、ジュエルビーストという怪物はそれほど甘くはない。
シムラクラムの詠唱が終わらぬうちに再び動き出した巨獣はその双眸をギロリと見開く。凄まじい眼光により幾つもの目玉の幻影を生み出し相手に恐怖を植えつける──マルチプレックスアイがディアナを、続けてジャンを襲った。「こ、この光は・・・あ、あああああぁあっ!?」「いかん、ディアナさ・・・うわああああっ!!」
全身の自由を奪われたディアナはその場で石のように動かなくなってしまう。ジャンは何とか踏みとどまったものの、その身体はもはやボロボロだった。
さらにジュエルビーストの雄叫びが轟き、放たれたサンライトアローがダークを直撃する。強烈な光の前にダークの身体は一瞬で黒コゲになってしまった。とどめとばかりにエナジーボルトがエルマンに襲いかかる。「ぎ、ぎあああああああ!!! あ、姐さぁああん!!!」
脳裏に閃くのは、今いずこにいるとも知れない踊り子の言葉。
──ジュエルビーストを何べんも封印した、世界で一番強い男がいるよってね。
──とりあえずいつも通り地図とアメジストはあげるわ、今回も頑張ってね♪
──アンタ流星刀まで持たせてもらったんだろ? だったらやってみなよ、乱れ雪・月・花!
──じゃあ三龍旋と無音殺とアッパースマッシュとヴァンダライズとVインパクト、それからグランドスラムと変幻自在もお願いね! そして今度こそ、真サルーインを倒しましょ♪
──あんたが逃げる時にしか役に立たないだって? バカなこと言うもんじゃないよ、例えばホラこの術具♪ あんたはいい試し撃ち要員になるからねー、ホント重宝するよ♪♪
「あ、あの姐さん・・・こんな時にドSな回想しか浮かばんのはなんでですかね・・・ええいこんチクショー!!!!」
激しい電撃に体力気力の殆どを奪われつつも、エルマンはどうにかオーヴァドライヴを発動させた。
止まった時間の中でふと見回すと、仲間はもはや皆極限状態だった。ディアナは麻痺、ダークは倒れ、シフもジャンも瀕死。ジャンに至ってはもう、生命力自体が限界に来つつあった。
この状況を切り抜ける手段は大きく分けて2つ。まだ立っている仲間全員にリヴァイヴァをかけ、巻き返しを図る。そしてもう一つは──自らの命を燃やして・・・・・・
どっちだ? どっちが正解だ? ダメージ計算用の算盤はとっくに破壊されている。あとひと押しか否か、その判断は自らの経験と勘に頼るしかない。攻めるか、守るか──
エルマンはボロボロになったローザリアサーベルを放り投げ、無言で大地の剣の柄を握りしめた。
その意図に気づいたシフは、時間を静止させられつつも何とか声を上げる。「やめな、エルマン! 命まで投げ捨てることはないよ!!」
だがエルマンは振り向かず、静かにジュエルビーストに向かって歩き始める。時間を止められながらも術の炎を纏い、咆哮を続ける怪物に。
「だ・・・大丈夫ですよシフさん。私の計算どおりなら──多分、まだ大丈夫です。
正直コレ、使いたくなかったんですけどねぇ」後ろ手に剣を構えながらも、エルマンのその手も声も震えていた。
「シフさん、皆さん。申し訳ないんですが、私の顔、見ないでもらえます?」
柄を力いっぱい握りしめた手から血が滲み出し、刃に零れる。その血は光となって刃に吸収され力となり、剣を内側から輝かせる。深い真紅に。
「この技やる時って、どうしても目を結構長いこと見開いていなくちゃならんもんで。姐さんにもナタリーにも言われたんですよ、顔が怖すぎるからその技だけはやめてくれって」
エルマンの足は巨獣のすぐ目の前で止まる。構えたその右手からは血が迸り続ける。その血を、彼の生命をいっぱいに吸い込んだ術具──大地の剣はまともに直視が出来ないほど光り輝いていた。
「私のせいでお客さん減っちまうのはイヤですから・・・・・・絶対に見んで下さいよ!」
エルマンはそう叫んだ瞬間飛び上がった──敵を何重にも切り裂く、乱れ突きの構えで。
シフの絶叫も届かないまま、エルマンの血は周囲に竜巻の如くに拡大する。その血濡れの剣は忌まわしき三柱の神──デス・サルーイン・シェラハの力を呼び起こし、一つの陣を形成していく。
地表から飛び出した三柱はその強烈な力場でジュエルビーストの巨体をも浮遊させ、装甲を一瞬のうちに切り裂く。それでも怪物は倒れずに咆哮した──
しかしその刹那、いっぱいに広がったその口腔へ、大地の剣を携えた会計係が一直線に飛び込んでいった。





目を覚ました時、エルマンは頭から足の先まで包帯ぐるぐる巻きの状態でベッドに寝かされていた。
左の糸目だけが何とか見えるという状態でふと横を見ると、ジャンが同じような姿になって仲良く隣のベッドに横たわっている。どうやらウエストエンドの宿屋に戻ってきたらしい。
「やぁ、エルマンさん。良かった、お目覚めになられたんですねぇ」
「・・・・・・あ、アレ? 
ジャンさん、ジュエルビーストは? 皆さん、ご無事で?」
「えぇ、皆さん大丈夫ですよ。エルマンさんと皆さんのおかげで、見事ジュエルビーストは粉砕されました」
「よ、良かったぁ〜!! 夢じゃなかったんですねぇ!!」
「夢じゃありません。その証拠に、ホラね」
起き上がったジャンは胸元の包帯から何かを取り出して見せる。その手にはジュエルリング──まごうことなき、ジュエルビーストを倒した証が光っていた。「貴方が目を覚ましたら渡せと、シフさんがね」
「え、いいんですか!? ありがとうございますぅ!! 
とはいえ、ダイアモンドもガーディアンリングも揃ってる今となってはあんまり大したモノでは・・・・・・って、どうしましたジャンさん?」
笑ってはいたが、ジャンにはいつもの覇気がない。その理由はすぐに分かった。
「私のせいです」ジャンの横顔から笑みが消え、彼は深々と頭を下げる。「申し訳ありません。私がヘマをした為に、エルマンさんにこんな大怪我をさせてしまった」
「えぇ? ジャンさん、やめて下さいよ。
貴方が最初にあの鳥を引きつけてなかったら、私もヤツに最後のトドメを刺せませんでしたからねぇ。さすがにLP枯渇で」
ジャンはそれでも目を伏せる。「一般人にこれほどの負担を強いるなど・・・・・・私はディアナさんを責められません。まさか貴方が、あそこまで命を削るような真似をするとは思わなかったもんですから。大地の剣での乱れ突き、それもかすみ二段を組み合わせての一人連携なぞ、想像もしませんでしたよ」
「いや・・・」エルマンは恥ずかしげに、大量の包帯でまあるく膨らんだ手で頭をかく。「私しゃただ、ジャンさんに借りを作ったまんまにしたくなかったんです」
「借り?」
「雪原でディアナさんと喧嘩になった時、ジャンさんに守っていただいたでしょ。その時のお礼がまだだったこと、思い出しただけなんですよねぇ」
「エルマンさん、自分が一般人を護るのは当たり前のことで・・・」
「いやいや、気持ちの問題なんです。私しゃ、誰かに借りを作るのは大嫌いなんですよ。商人の性ですかね、後になればなるほど利子が膨らんじまうんじゃないかって」
「では今回の件で、私の方が逆に借りを作りましたね。この借りをお返しするにはどうしたものやら・・・」
ジャンは自分の包帯まみれの両腕に視線を落とす。これほど落ち込んだジャンを見るのは初めてで、エルマンは慌てた。「いやちょっとジャンさん、そんなに考え込むこたないですからね? めでたくジュエルビーストは倒せたんですし、出来ればBPをもうちょい伸ばしていただければ、私はそれで・・・」
「そりゃ当然です。ですが・・・あ、思いつきましたよ!」
ジャンの顔がぱっと明るくなり、エルマンに向く。「お守りします。今後私は城塞騎士として、貴方がたを完璧にお守りすることを誓いますよ!!」
「は、はぁ・・・」「ハハハ、疑ってますね? でも、嘘じゃありませんよ。
確かにBPは私の弱点ですが、その弱点をカバーする為に今後、どんなに攻撃されようとも確実に貴方がたをお守りしてみせます! 大丈夫、ディフレクトにはBPなんて一切いりませんからね」
「そ・・・そりゃありがたいですが、ジャンさん確かあんまりセルバも出来ないBPだったんじゃ」
「そんなバグ技要りませんよ、ハハハハ」「え、あの、じゃあどうやって・・・」
「私はネビル隊長には散々叱られてますが、唯一認められているのが騎士の素質なんですよ。もうエルマンさんにこんな怪我はさせません、勿論皆さんにもね」
そこへ盛大にドアが開き、ドスドスと轟音をたててシフが乗り込んできた。「ジャン! あんたまた調子いいこと言って、本当に危なかったんだからね! あんたも、エルマンも!!」
言いながらシフはエルマンに向き直る。その凄まじき眼光に、エルマンは思わず毛布を引っかぶった。
「やっと目が覚めたんだね。エルマン、あんたって奴は・・・・・・」
「ひ、ひぃい!! シフ様、このジュエルリングを献上いたしますのでどうか命ばかりは、お助けをぉおおお〜!!」
毛布の中から手とリングだけを突き出すエルマンに、シフは呆れてため息をつく。「はぁ・・・全く、そんな形で男からプレゼントされたって、嬉しくないね。
ともかく、バーバラの言う通りだったよ。逃げ出しもせずにあんな化物と何度も何度も戦うなんて、あんたはやっぱり強いヤツだ」
「ふえ?」シフの言葉に、エルマンは少しだけ顔を出す。雪国の女勇士の大きな手が、毛布ごしにその頭を軽く叩いた。「あの〜シフさん、褒めていただけるのは光栄ですが、私がジュエルビーストやら真サルーインやらと何度も戦ってるのはあくまで成り行きですからね? 逃げられるもんなら今すぐ逃げたいスよ、全くもう・・・」
「それでも、だよ。
ジャンだけじゃない、あたしもヘマをしてあの時鳥に捕まっちまった。だけどそいつをエルマンにディアナ、ダークの皆がカバーした。強いヤツだよ、あんたも、みんなも」
「いや〜シフ様には叶いませんよ、ジュエルビーストの叩きつけに生身で耐えてさらに反撃できる方なんて初めてでしたからねぇ!!」
「そうかい、そいつはありがとう。ただ、もう二度とあんな風に命を投げ捨てる真似はしてほしくないね」
シフの後からディアナとダークが入ってくる。「シフの言う通りですよ、エルマン。あの直後、貴方の状態がどんなだったと思っているんですか?」
「ホントだよ、ディアナとダークが一晩中回復術かけてこのありさまだからね。バーバラに会わせる顔がないじゃないか」
「でも、良かった」ディアナはそっと目を伏せて呟く。その眦にわずかに光るものが見えた。「これ以上、私の周りで誰かを失うのは、嫌ですから」
「は、はぁ。ご心配おかけいたしましたぁ」「なんだいなんだいその返事にそのふにゃ顔は!! ディアナがどれだけ心配したと思ってるんだ、いい加減な礼をするんじゃないよ!!」「すすすすみませんでしたシフさん痛い痛い痛いぃ!! つか、ふにゃ顔は元からなんですってぇ!!」「ハハハハ、これにて一件落着ですね」




ジャンの言葉どおり──確かに、一件落着ではあった。
だが、一難去ってまた一難という言葉もあるとおり、シフたち一行にはさらなる壁が立ちはだかっていた。デス、シェラハ、四天王、そして真サルーイン──
エルマンらが回復し、ウエストエンドを出発して北エスタミルに着いたシフたち。そこで突如記憶を取り戻したダークは一行に告げた。「思い出したぞ・・・俺はアサシンギルドの首領、ダークだ」
「記憶が戻ったのかい! そいつは良かったね・・・って、どこへ行くんだ!?」
「俺はこれからアサシンギルド復活のために・・・おわっ!?」
シフたちがぽかんとする中、後ろから突然エルマンに力まかせにぶん殴られたダークは、そのまま彼に裏通りまで引きずられていく。そして路地裏でエルマンは両腕をぶん回しながら騒ぎ出した。
「ちょっとダークさん!!! 記憶復活のタイミング早すぎでしょ、いくらこれから新しい仲間探しとはいえ!!」
「新たな仲間を入れたら俺は用済みになる。いつものパターンだろう・・・ほら、お望みどおり剣はやるぞ」
「・・・まぁ、ぶっちゃけその通りですけど。そして今すぐ剣をいただけるのもありがたいですけど。
でもどうしてです? いくら何でも・・・」
「お前がジュエルビーストを撃破した時の技だ。あれで思い出した・・・
ブ○ングリード流血闘術・・・まさか、貴様があの、アサシンにも伝わる技の伝承者だったとはな!」
「は? あの、ダークさん、あるはずのない記憶まで思い出さんで下さいよ?」
「それにその目・・・む!? あの時貴様は自分の顔を見ないようにと言ったな、もしや貴様・・・
神々の義眼の保有者か!!?? ジュエルビーストの動きを義眼で封じると同時に、血闘術旋回式連突を炸裂させていたとは」
「・・・・・・」
「間違いない、その声、その糸目!! 貴様はかの、噂にきく神々の義眼の保有者!!!
血闘術を会得しながら義眼まで保有するとは、貴様只者ではないな!! どうだ、アサシンギルド復活に協力を」
「ダークさん、あのね・・・
同じ作品の中の人ネタ続けるなら、貴方生きたまま刻まれて潰されて液状にされて×コメみそパックに詰められるんですけどよろしいスか」




「というわけでね、ちょっと早めですがダークさんとお別れしてめでたくダークの剣を手に入れましたよ。全くもう・・・
あ、お久しぶりですジャミル兄さん」
「というわけでってエルマン、こちとら全然ワケ分かんねぇんだけどな」
所は南エスタミル──シフ一行はとある民家を訪ねていた。そこにいたのは、エルマンにとっては最早顔なじみ同然の盗賊ジャミル。「とりあえず、お茶ぐらいしか出ないけどゆっくりしてけよ。ジュエビ討伐ご苦労さん」
「ちょっとジャミル! ここはあたいの家だよ、勝手に亭主ヅラすんな!」
「固いこと言うなよ、ファラ。またきれいな腕輪、とってきてやるからさ」「調子いいんだから。あたいがいつまでも腕輪でつられると思ったら大間違いだからね」
ジャミルを叱ったおだんご頭の少女・ファラはため息をつきつつもシフ一行にお茶を出す。「ウハンジの時もアサシンギルド騒ぎの時も、助けてくれてありがとう。でも、またうちに寄ったのは何で? ジャミルに相談?」
「まぁ、そんなところだねぇ」シフはこれまでのジュエビ討伐の状況をジャミルとファラに説明した。
「・・・・・・というわけだ。
だから、もうみんなに負担をかけたくない。強い仲間がほしいんだよ」
シフの話を、ジャミルもファラも目を丸くしながら聞いていた。
「いつも以上に凄かったんだな、今回のジュエビ討伐は・・・・・・」「へぇ〜!! この、糸目のおチビちゃんがねぇ」
「ちょ、お嬢さん!? おチビちゃんとは何ですかい、これでも立派な旅芸人一座のマネージャーですからね!」
「でもチビはチビじゃん、あたいと2cmしか違わないよ」「2cmでも、貴方よりは大きいでしょうが!」「ざ〜んねん、あたいはこの、頭のおだんご入れたらあと5cmは上乗せされるからアンタよりは大きくなるよ〜」「そいつは卑怯ですよ、なんなら私だってこの帽子を」「ばーか。それ、横にしか広がらないじゃん!!」「ば、馬鹿って!? 私しゃ一応パーティ内での知力はトップですからね!」「お前ら脳筋パーティじゃ、知力トップも説得力ねぇだろ」「ジャ、ジャミル兄さんまで・・・ううう」「ハハハハ、確かに私らはエルマンさん以外は腕力体力馬鹿ですからねぇ」「いや、ジャンさんあっさり認めんで下さいよ!!」「あーもういい加減にしなあんたたち、人が真面目に相談してるのに!」
「これからは、真サルーインとの戦いにもなります」ディアナが全ての漫才をぶった切るが如く話を続けた。「ジャミルさん。貴方も何度か、真サルーインと戦ったそうですね」
「おぅ。確かにそうだが、また俺の力が必要ってことかい?」
ジャミルはいつでも準備オッケーとばかりに腕まくりをしてみせるが、それをシフが止めた。「ジャミル、今回アンタは連れて行かないよ。あたしが心配なのはLPなんだ」
「えぇ!? 何だよ、LPはともかく俺はBPなら申し分ないぜ?!」
「エルマンの話を聞く限り、サルーインの戦いには術具、そして自動蘇生術のリヴァイヴァが不可欠だ。それを利用するには当然、膨大な生命力が必要になる──あたしは正直、あまりそういう手を使いたくはないけどね。
今の布陣で行くとなると、LPに余裕のあるヤツがもう一人欲しいんだよ。あんた、アテはないかい」
「一人いるっちゃいるけど・・・・・・アイツ、こんな話したら多分引きこもって出てこないだろうしなぁ」
「そんなヤツは始めから要らないね」「シフさん酷いっすねぇ。私だってこんな話、逃げられるモンなら逃げますぜ」「では、他には?」
ディアナが尋ねたその時、ファラが会話に割り込んだ。「ねぇジャミル、さっきから何の話? 何度もサルーインを倒してるとか何とか」
「お前には関係ねぇよ。いいから、危ないことには首突っ込むな」ジャミルがファラを話の輪から放り出そうとするが、ファラは聞かない。「え〜、ジャミルはいっつもそればっかり! あたいもちょっとは冒険に連れていってくれたっていいじゃん!」
「エスタミルから出るのは危険だって、あれほど言ってるだろ!!」ファラを怒鳴りつけるジャミルを、シフは無言で止めた──その青い眸が、じっとファラを上から下まで見つめている。
「・・・・・・え、ナニ? あたいの顔、なんかついてる?」
「ファラって言ったね。いい素質がありそうだ」
「えぇ? まさかシフさん・・・」「決めたよ。この娘を連れて行こう」




「うっうっ・・・・・・おチビちゃん、苦労してるんだねぇ。あたい、ジャミルから全然話聞いてなくて」
「いや、ですから私しゃエルマンと申します。後生ですからおチビちゃんはやめてもらえます? 次言ったら50金頂きますぜ」
「それは困るよ! あたいの家が超貧乏なこと知ってる癖に、この銭ゲバ小僧!」「そ、その二つ名はもっと嫌です!! 普通に呼んでくださいよぉ」「だってジャミルがそう言ってたよ、あんたのこと!」「な、なんですとー!?」
北エスタミル宿屋。新たにファラを仲間に加えたシフたちは、彼女にひと通りのいきさつを話した。エルマンの境遇にファラは涙しつつも、無邪気に彼をからかうことは忘れない。「それにしても、いいんですかい? ジャミル兄さんあそこに置いたまんまで」
「いいんだよ。どうせあいつはウチの居候みたいなもんだし」
「え? 私しゃずっと兄さんからは、ファラさんご一家の家計を自分が支えているみたいなお話を聞いとりましたが」
「えぇ? 確かに腕輪もらったりはしたけど、そこまでは。一日500金ぐらい宿代もらってるだけだよ」
「ちょっと待ったあファラさん、それ割高すぎますってぇ!」
「ホントのこと言っただけで50金せしめるような守銭奴に言われたかないね!」
そんなやりとりをシフが微笑ましげに眺める。「なーんか、色々とうまくやっていけそうじゃないかアンタたち」
「え、そう見えます? やっぱり同じクジャラート出身同士だからッスかねぇ」
「あ、やっぱそうだったんだ。エルマンって凄いクジャラート顔だもんね〜耳はジャミルほど尖ってないけど」
「ジャミル兄さんは尖りすぎなんですよ、耳も性格も。一体どうしてああなったのやら」
「そうだよね! その癖あたいを絶対一緒に連れてってくれないしさ、変なトコでカタイんだから。
シフがあたいを無理矢理連れ出してくれて良かったよ。ありがとう」
「礼を言うのはこっちさ、ついてきてくれてありがとうな。細かいことつべこべ言う男は一発ぶっ飛ばしておけばいいんだよ!」
「そのおかげで兄さん、今ファラさんちの床にめりこんでますけどね」
「ハハハハ、華もあって賑やかなパーティになりそうですね!!」ジャンがいつものように大笑いしたが、その時シフは気づいた。「あれ? ディアナはどこ行ったんだい?」
「さっき、風に当たってくるとかで出て行かれたようですが。ま、そんなに心配はいらんでしょう」
「ジャン、あんたも相変わらず楽天的だねぇ。ちょっと見てくるよ」




宿屋から少し離れ、ディアナは海辺の月明かりの下で佇んでいた。海を挟んだ向こう側には、南エスタミルの雑多な市街が見える。
「こんなところにいたんだね。いったいどうしたんだい、ディアナ」
「シフ。申し訳ありませんが、私・・・・・・
弟を探しに出ようかと思います」
「えぇえっ!!??」慌ててシフを追ってきたエルマンとファラは同時に声を上げる。「ディアナさん、やめてくださいよぉ! せっかくお仲間が揃ったんですからこんなところで抜けたら大損ですよ!!」「ねぇもしかして、あたいが来たから? あたいのこと、嫌になっちゃったの?」
ディアナは直接は答えず、ただ呟く。「私はローザリア侯ルドルフの娘。クジャラートの方々や、帝国の親衛隊の方とこれ以上行動を共にすれば、いずれご迷惑がかかります」
「そんなの国同士の話だろ? あたしらには関係ないよ。現に、あんたがいたことで損をしたことなんて一度もなかったじゃないか。なぁ、エルマン?」
「そうですよ、シフさんの言う通りです。損どころか、ローザリアのお偉方ともコネが出来て超オトクだと思ってますよ・・・・・・って、うわっ!?」
「ねぇ、ちょっとあんた!」エルマンを無理矢理押しのけて、ファラがディアナに怒鳴る。「あたいが貧乏だから? 盗賊にモノ恵んでもらうような卑しい娘だから、イヤだっての?」
「ちょ、ファラさん! そりゃ誤解っスよ、ディアナさんはそんなお方じゃ・・・んなワケありませんよねぇ、ディアナさん?」
エルマンは二人の間に立ってわたわた腕を振りながらお互いを見回す。だがディアナは否定も肯定もしなかった。
「・・・・・・シフ、エルマン。申し訳ありません。
私はその方とは先ほど知り合ったばかり。彼女の実力は、シフのような達人ではない私には分かりません。ましてやそれ以上のことなど、分かるわけがありません。
ならば、今分かっている情報で彼女を判断するしかないでしょう?」
「そ、そんなぁ。ディアナさん・・・」エルマンはがっくり膝をつくが、シフは冷静だった。
「確かに一理あるね。エルマン、あんた最初にあたしと会った時自分がどんな反応したか思い出してごらんよ」
「あ・・・・・・
いやそのあの、その節は大変申し訳ございませんでしたぁああ!!!」
「ま、知り合ったばかりじゃ誤解があったって仕方ないさ。まずはお互いを知るところから始めてみよう、抜けるのはそれからでも遅くはないだろ? ディアナ」
「え? えぇ・・・・・・でも」「お互いを知るったって、あたいどうやっていいか分かんないよ」
顔を見合わせる二人の少女に、シフは言ってのけた。「どうだろう、二人で料理作ってみるってのは? エルマン、今日は夕飯の支度はまだだったろう?」
「一応買い出しはすませとりますが・・・・・・お二人にやってもらうんですかい?」
「いいじゃないか。あんたの節約メニューもいいけど、ちょっと飽きが来てるんだよ。いいね二人とも?」
その言葉に、ファラが身を乗り出してきた。「へぇ〜いつもみんなの食事ってエルマンが作ってるの?」
「安い宿は食事出してくれないところが殆どだもんで、たいがい宿の台所拝借して作ってるんですよ」
「じゃあさ、今日はあたいに任せてよ! 卵料理は得意なんだ!」
「え・・・・・・?(ゾク)」
シフの提案にディアナも少しばかり乗ってきた。「そうですね。いつも食事はエルマンに作ってもらうばかりでしたから、時々は私がやらねば。大丈夫、料理は母上からひと通り教わっています」
「え・・・・・・・・・??(ゾクゾク) って何でしょう、さっきからこの悪寒は・・・?」




そして数刻の後。
エルマンとジャンの前では、ギガントワームとバガーとデスクローカーのごった煮とでも表現すべき奇怪な鍋がもうもうと湯気を立てていた。
「オー、なんてこった・・・・・・青と紫の泡が目に痛い。エルマンさん、一体どういう経緯でこうなったんです?」
「シフさんに聞いてくだせぇ・・・・・・私の準備した食材で一体何故こんな。邪神召喚の儀式ですかいこれは」
「何言ってるんだよエルマン、あたいとディアナが力を合わせて作ったんだよ!! ねー♪」
「そうですね、少なくとも栄養のバランス的に問題はないはずです。ありがとう、ファラ」
先ほどのギスギスした空気はどこへやら。ファラとディアナは笑顔で顔を見合わせた──そこへシフが堂々と鼻を鳴らして乗り込んでくる。「おぉ、いい匂いだねぇ! それに久々の豪快な料理だよ、さすが女が力を合わせると違うねぇ!」
「い、いい匂い・・・・・・ですかい? 硫黄と生ごみと腐った牛乳が混じったようなコレが?」
そんなエルマンの皮肉もシフは笑い飛ばすばかりだ。「全くあんたは相変わらずうるさい男だねぇ。ディアナとファラが仲良くなったんだからいいじゃないか!」
「そ、そりゃ素晴らしい。仲睦まじきは美しきかなですよ、これなら真サルーインも裸足で逃げ出すってもんですハハハハ・・・」
「ジャンさん、笑いに覇気がありませんぜ」
「あ、あとこれもう一品ね」と言ってファラがにっこりとエルマンに差し出したものは──
「ぎ、ギアアアアアアア!!! る、ルーンドレッドが、あの紫ショックウェイヴ虫が器に、器にぃいい!!」
「何言ってんの、ロレンジのココットだよ。卵料理は得意だって言ったじゃん」
「たた確かにロレンジと卵は買っておきましたが・・・・・・巨大な虫が灰色のプリン?に吸い付いてるようにしか見えないスよぉ」「ロレンジがどうしてルーンドレッドに化けるんだ・・・・・・オーマイガー」
「それから飲み物も作りました」ディアナがそっとジャンにコップを差し出した──彼の顔色が青から白になる。
「青い炭酸らしきドロドロした液体に・・・・・・何やら赤みがかったヘドロが沈んでるんですが?」
「焼肉ソーダです」ディアナが真面目に答えた瞬間、ジャンは噴き出した。それでも彼女は顔色一つ変えず説明する。「本来はそのまま肉をソーダと一緒に飲むのですが、今回は少しアレンジしました。飲みやすいように肉を細かく刻んでありますので」
「名称に偽りありですよディアナさん。コイツは焼肉じゃありません、生肉です」
「つーかそれ以前の問題だと思いますけど!? せっかく買った食材でアンタら何やってるんスかアアアア!!!」
「いちいちうるさいなぁ。見た目と味はともかく、栄養バランスは完璧なはずだよ」 「それ料理苦手キャラの常套句ですけどね、そもそも見た目だけで食う気が失せるシロモノ作らんで下さいよ!!!」
「え〜? でもジャミルはちゃんと食べてくれたよ」
「アルベルトもです。貴方がたは少々我慢弱いのでは?」「自分で認めやがりましたよ、自分の料理が我慢を強いると・・・」こっそりエルマンは呟く。
「それに、将来的にも貴方がたのため」ディアナはエルマンの突っ込みも全く聞き入れず主張する。「アルベルトはこのソーダを飲み始めてから、めきめきファッションセンスが良くなりました。大きな翼を常に背中に装着し、髪型も服も立派になり、某光×ENJIのようにきらびやかに・・・」
「エ?」
「あーそういえばジャミルも、あたいの料理食べ始めてから耳が尖ってきたなー」
「エエ?」
「そういえば殿下、私が手料理を御馳走して以来少しお声が変わった気が・・・」
「エエエエエ・・・・・・」
そしてエルマンとジャンがこわごわ横を振り返ると、そこには化物料理を壮絶な勢いでかきこむシフの姿があった。「いや〜、久々の豪勢な料理はうまいねぇ!! ほら、エルマンもジャンも何やってるんだい! いらないならあたしが全部食うよ!!」
そんなシフの豪快な巨体と、その頭のツノをエルマンとジャンはじっと眺める──気のせいか、ツノがぐんぐん伸びているように見えた。
「じゃ、ジャンさん全力で逃げましょ・・・・・・アレ食わされた日にゃ私、狐の耳と尻尾が生えちまいます」
「い、いやぁ〜それはそれで可愛らしいと思いますがねぇ」
「笑ってる場合じゃありませんよ、アンタだって頭つるピカのヘソ出しルックになりかねませんって!!」「そ、そいつは困る!!」
「あ、コラ二人とも!! 食べ物粗末にするんじゃないよ、逃げるなぁーーー!!!」



次回、〜真サルーイン戦、やるよ!!〜へ つづく?


 


 

 

 

食べ物ネタが思いのほか長くなってしまった、ジュエビ本戦エピソードでありました。
ブログでも書きましたが、ジュエビ戦はホントにジャンのBPがネックでした。そして今回、いつもよりかなり実際のプレイに忠実に戦闘書いてます。つまり、このカッチョイイエルマンさんは事実に限りなく近いということだ!!
大地の剣が血でどーのこーのは勿論創作ですが。でも実際のところ、術具の使用方法で一番しっくりくるのって「術具に血を注ぎ込む」って形なんじゃないかとは思います。
ってことはLPって実はヘモグロビン値だったりするのか? 親分はまさかの貧血キャラ? 
LP使って逃げる時というのは実は、自分の血の臭いをまき散らして敵を混乱させつつ逃げてる?なんと健気なエルマン・・・(^^;
そしてエルマンの乱れ突き。この技繰り出している最中エルマンがずっと目見開いてるのもホントです。ヘタするとやった後も見開いてます。連携してしまったらだいたい、目を見開いている顔がカットインします(今回はたまたま?ずっと後ろを向いててくれましたが)。面白いけどあんまり何度も使いたい技じゃないのは万物一空に同じ。



で、このジュエビ戦の後、ジャンさんが壮絶なまでにディフレクト祭をかましまくってくれたのは事実。凄まじい名誉挽回ぶりでした。上ではあまり書けませんでしたが。
物理攻撃が来たら100%に近い確率でディフレクトしていたのではなかろうか。しかもセルバなしで。ラファエルもかなりのものだったけどジャンは多分それを上回った。そのあたりのことは次回に書けたら書きます。
あと、ダークさんがダークさんになるのは器用さ50を超えてからです。普通に進めていたらこんなに早い段階でダークの剣をくれるということはないので要注意。
ちなみにブ○ングリード流血闘術というのはこんなん。血界戦線楽しいです。エルマンは主役(というか新八的役回り)だしダークも出てたし。


そして料理ネタ探しでアルトネリコ1・2の動画見てたらまたやりたくなってきてしまった・・・(汗)
ミンサガやりこんだ今だと相当なヌルゲーに見えるけど。特に1。全体回復があんなに簡単だなんてなんと羨ましい。
今回のファラとディアナの料理はほぼ全てアルトネリコ発祥です。焼肉ソーダのセンスは今考えてもスゴイ。
何でファラを入れたかというと、ファラ&ディアナとエルマンで銀魂姉弟つながりで料理ネタやりたかっただけともいう。
でもファラは強いです。技を覚えさせようと特に意識しなくともバンバン覚えてくれるし、全てのステータスが結構上がりやすい。LPもBPも問題なし。
というかクジャラート出身キャラは全員比較的強い方じゃなかろうか。ジャミルは言うまでもないですが、ダウドもLPあるしBPも相当伸びる。エルマンが結構使えるのは散々書いているとおりだし。ジャミル・ダウド・ファラ・エルマンで最後にダークかミリアム入れれば術方面も完璧。
そしてそんな最強パーティが実際のプレイでは幻に終わるというのが非常につらいところ。なんでアルベルト&ディアナ連れまわしが出来てジャミル&ダウド&ファラ同時連れまわしが出来ない・・・・・・orz

 

back